国道139

夕暮れの滲むこの町で 初めてセミの声を聴いた
ひまわりの揺れるこの町で 初めてセミの声を聴いた

白っぽく霞むこの町で 初めて森の音を聴いた
戸惑いの揺れるこの町で 初めて森の音を聴いた

「君が君なりにラクになれるなら。」
それは虚しく残酷で

でも
眩しすぎる午後の炎症と純粋が 僕をじっとずっとその手で握る

大した事じゃない 大した事じゃない
ただ君が今そこにあり ただ僕が今ここにある

だから
大した事じゃない 大した事じゃない
強くも弱くもあればいい 泣けばすがればそれでいい


油いろ艶めくこの町で ただ僕はこうして立ち尽くす
永遠 の揺らめくこの町で ただ指をくわえて立ち尽くす…


「僕が僕なりにラクになれるから。」
それは気怠(けだる)く陰鬱で

でも
眩しすぎる午後の炎症と純粋が 僕をぎゅっとずっとその手で掴む

大した事じゃない 大した事じゃない
ただ君が今そこにあり ただ僕が今ここにある

だから
大した事じゃないだろう? 大した事じゃないだろう?
強くも弱くもあればいい 泣けばすがればそれでいい


夕暮れの滲むあの町で 初めてセミの声を聴いて
近くて遠いあの町で 初めて森の音を聴いた

初めて自分の目を見つめた 初めて自分と手をつないだ

初めて全世界をぬすんだ

                          (2006.02〜)